糖と酸素との共存と戦いについて(その2)

前回、我々人間は、旧型エンジンである「解糖系(原核生物)」と新型エンジンである「ミトコンドリア系(ミトコンドリア)」によるハイブリッド仕様だというお話をしましたが、これらのエネルギー生産システムについてもう少し見ていきましょう。
「糖と酸素との共存と戦いについて(その1)」

【解糖系(原核生物)】
エネルギー生産方法としては、無酸素でブドウ糖を分解してエネルギーを作り出す方法で、この際に併せて乳酸などが作り出されます。これらが疲労やこりの原因となりますので、疲れやすい人やこりがなかなかとれない人は、解糖系のエネルギー生産が多いことになります。

解糖系は、乳酸などの不純物(ミトコンドリア系で再生可能ですが)を作り出したり、ミトコンドリア系に比べるとエネルギー効率が格段に悪いことなどから、旧型エンジンと言われるのですが、後ほどお話しする、瞬発力や再生性という特長がありますので、その特性に応じて活用されることになります。

【ミトコンドリア系(ミトコンドリア)】
エネルギー生産方法としては、2種類あります。

一つは、有酸素でブドウ糖を分解してエネルギーを作り出す方法で、これは酸素を活用するために、解糖系に比べて20倍弱とエネルギー効率は極めて高く、かつ乳酸などの不純物も生じませんので、言わばクリーンな新型エンジンなのです。

またもう一つの方法は、有酸素で脂肪を分解してエネルギーを作り出す方法で、これは、ブドウ糖を分解するよりさらに効率が良くなり、解糖系に比べて70倍弱、ミトコンドリア系でのブドウ糖の分解に比べて4倍弱の超高性能エンジンになります。

このエネルギー生産システムを見て頂ければ分かるように、
解糖系(ブドウ糖分解)→ミトコンドリア系(ブドウ糖分解)→ミトコンドリア系(脂肪分解)
となるに従い、エネルギー効率は格段に向上していますので、明らかにエネルギー生産システムは段々と進化しているのです。

また、エネルギー源となるブドウ糖や脂肪をどれだけ体内にプールしておけるかという観点でも、成人男性で、ブドウ糖は肝臓に100g程度、筋肉などに300g程度しか蓄えられないのに対し、脂肪は10kg程度(これが使い切れないほど過剰だと肥満になりますが)蓄えられますので、ガソリンタンクの量からも明らかにブドウ糖→脂肪と進化しているのです。

ちなみに、脳はブドウ糖が唯一のエネルギーだと言われますがこれは間違っていて、脂肪を分解してできるケトン体という物質がエネルギー源になります。先ほどお話したように、ブドウ糖が肝臓にプールできる量は100g程度ですので、ブドウ糖が唯一の脳のエネルギー源だとすれば、夜寝ている間にガス欠状態になり、脳は危機的状態に陥るはずですが、そうはなっていませんよね。

また、後日お話しますが、これらのエネルギーシステムを上手く活用するような食生活を行なうことで、人間本来の持つ正しいメカニズムによる健康体になることができるのです。

これらの、解糖系とミトコンドリア系の特徴やそれらが働く環境などをまとめると、以下の通りになります。

【解糖系(原核生物)】
■エネルギー生産システム:無酸素でブドウ糖を分解してエネルギーを生産。エネルギー効率は悪く、不純物も生じる旧型エンジン。
■メリット:瞬発力を有する運動や再生性が必要な体内組織(肌、内臓など)に適している。
■デメリット:ガス欠になるのが早く、かつ疲労しやすい。
■働く環境:無酸素・低酸素、低温、高糖質

【ミトコンドリア系(ミトコンドリア)】
■エネルギー生産システム:有酸素でブドウ糖や脂肪を分解してエネルギーを生産。エネルギー効率は極めて高く、特に脂肪をエネルギー源にする場合が最も効率的になる。不純物も生じないクリーンな新型エンジン。
■メリット:持続力を有する運動や連続性が必要で止まることが許されない体内組織(神経、脳、心臓など)に適している。
■デメリット:すぐにエネルギー生産することができない。
■働く環境:有酸素・高酸素、高温、低糖質

例えば、人の一生で考えてみます。

まず、精子と卵子の受精により人が誕生するのですが、精子は活発に動くので解糖系がメインです。一方卵子はミトコンドリア系がメインで、受精したときに生き残るのは精子は解糖系のみで卵子はミトコンドリア系だけになります。ミトコンドリアは、人の健康や長寿などに影響するDNA(ミトコンドリアDNA)を持っていますので、これらは母性のみから遺伝することになるのです。

それから、幼少期から成人になるまでは、成長しながら活発に活動しますので、解糖系が主体になります。子どもたちが激しく活動するけど、突然疲れて眠ってしまうのは解糖系がメインのためです。

成人すると、成長は止まり活動も緩やかで安定的になりますので、ミトコンドリア系が主体になります。この切り替えが上手くいくように、食生活を変えていかないと、ミトコンドリア系の働きが悪くなり、不健康で病気がちな状態になります。

このミトコンドリア系の働きが、衰えてくると、老化が始まり、最終的に停止すると死亡することになります。
なお、ミトコンドリア系の活動停止により、脳や心肺が停止していても、解糖系は無酸素状態でまだ活動できますので、筋肉などで解糖系エネルギーが作られ、併せて乳酸なども作り出されますが、これらをミトコンドリア系で再生することができませんので、乳酸が蓄積し、死後硬直が始まるのです。

また、お話が長くなりましたので、次回は、解糖系とミトコンドリア系を有効に働かせるのにはどうしたら良いのか、特にミトコンドリア系の活性化が、健康体になるための重要なポイントになりますので、それらのお話をしたいと思います。


『糖と酸素との共存と戦いについて(その3)<ブログへリンク>』

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山本越郎

Author:山本越郎
30年間勤務した生命保険会社を早期退職して、世の中の頑張っているけど上手くいかずに困っている方々を助けるために、教育問題と医療問題に取り組んでいます。
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