糖と酸素との共存と戦いについて(その3)

前回、解糖系とミトコンドリア系の特徴やそれらが働く環境などと、特に、成人以降は、成長期の解糖系主体から、ミトコンドリア系主体のエネルギー生産システムに切り替えていくように、生活習慣を変えていく必要があることなどをお話をしました。
「糖と酸素との共存と戦いについて(その2)」

今回は、これらの生活習慣のうち、食事についてお話します。

ミトコンドリア系は、酸素を取り入れて脂肪をエネルギー源とする場合が最も効率的にエネルギーを生産することができます。また、エネルギータンクで考えても、皮下脂肪や内臓脂肪をエネルギータンクとする脂肪が最も多くのエネルギー源をプールしていることになります。

従って、脂肪をエネルギー源とすることが、ミトコンドリア系を最も有効に活用することができることになるのですが、一方で、ミトコンドリア系主体の場合でも、瞬発力を要する行動を行なう場合などは、解糖系を活用することになるため、その場合は糖をエネルギー源にする必要があります。

しかし、糖質を中心とした食事を摂ると、高糖質になり、すぐに稼動する解糖系主体のエネルギー生産システムになるため、血液中の過剰なブドウ糖がインシュリンによって体脂肪として蓄えられても、ミトコンドリア系はあまり稼動しないため、蓄えられた体脂肪も消費されず、太っていくことになります。

また、糖質を中心にした食事は、実はそのコントロールが結構難しいのです。
健康な人の血糖値は100mg/dL程度なのですが、体重が60kgの方の血液量は5L程度ですので、血液中にあるブドウ糖の量はわずか5g程度しかないことになります。

例えば、ごはん一杯の糖質は50g強ですので、ごはん一杯食べたとしても、食後の血糖値は大幅に上昇することになり、この状態が続くと、全身の血管がダメージを受けることになりますので、速やかにインシュリンで血糖値を下げる必要が生じます。
それは血糖値を下げることができる唯一のホルモンであるインシュリンの疲弊につながるとともに、先ほどお話した肥満の原因になり、特に内臓脂肪の蓄積は様々な病気の原因になるのです。

そもそも、人間の体の構成要素を考えてみると、約6割強が水分、約2割弱がたんぱく質、約2割弱が脂質で、糖質は1%にも満たない状況なのです。
これは、たんぱく質や脂質はエネルギーの他にも体を作るために必要な成分であることに対して、糖質は人間の体を作るためにはほとんど必要なく、エネルギーとして使用できなければ全て排出したり他の成分に変換する必要があることを意味しています。

糖は原始的な原核生物(解糖系)ではエネルギー源としていましたが、そのエネルギー効率は悪く、なにより過剰に摂ると糖化という死に至らしめる危険な存在であったため、人間は進化の過程で、ミトコンドリア系の活用ににより、酸素を取り入れて「脂肪」というエネルギー効率が極めて高く安全なエネルギー源を手に入れることができたのです。

確かに、今でも糖は解糖系を作動させるのに必要なのですが、糖はコントロールが難しい食事で摂る必要はなく、たんぱく質や脂質をもとに、肝臓で糖新生というシステムで作り出すことができるのです。これで行なう方が、過剰な血糖を生じることもなく、安全に活用できるように、人間の体は進化してきたのです。

このメカニズムは、はるか昔、狩猟生活を行なっていた頃に既に完成されていて、当時の人間は、狩猟によって得られた動物から、主にたんぱく質や脂質を摂ることで、狩りという瞬発力と持久力を有する活動(解糖系とミトコンドリア系)を行なうことができていたのです。

その頃から、実は人間の体はほとんど変化していないので、糖質を中心とする食事を行うと、せっかく進化したエネルギー生産システムであるミトコンドリア系が有効に活用できないどころか、旧型エンジンである解糖系に退化してしまうことになります。

それに加えて、解糖系により生じる乳酸などで疲れやすく、こりが取れない体になったり、過剰な糖質摂取による、肥満、内臓脂肪の蓄積、それらに伴う様々な病気(高血圧、糖尿病、がんなど)、ひいては糖化とミトコンドリア系の衰えにより、老化が進行してしまうことになるのです。

また、お話が長くなりましたので、次回は、ミトコンドリア系を活性化するための具体的な生活習慣についてお話したいと思います。

追記
私のFBFである萩原敦さんは、糖の有害性・危険性や、糖の過剰摂取によるがんや糖尿病の発生メカニズムについて、非常に論理的で説得力のある投稿をされています。
萩原さんのFB投稿記事のURLをいくつかご紹介しますので、ぜひご覧になってみてください。

【「糖」とは、そもそも何なのか?「糖」は、なぜヒトに有害なのか?】
【がんとは、体内で細胞質である原核生物(解糖系)が、体内の過剰な糖に反応して覚醒することである。】
【がんと糖尿病は、糖由来疾患の一卵性双生児である!】

<萩原 敦さん>


『糖と酸素との共存と戦いについて(その4)<ブログへリンク>』

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プロフィール

山本越郎

Author:山本越郎
30年間勤務した生命保険会社を早期退職して、世の中の頑張っているけど上手くいかずに困っている方々を助けるために、教育問題と医療問題に取り組んでいます。
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