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自分で考えて学ぶこどもの育成について(就学前の子育て編その3)

昨日は、就学前の子育てにおける自分で考えて学ぶこどもの育成について、「子育て・まちづくり支援プロデューサー養成講座」での先生方のお話の中から、①こどもを自立心を持って育てていくことについてご紹介させて頂きました。
「自分で考えて学ぶこどもの育成について(就学前の子育て編その2)」

今日は、②お母さんの心身両面におけるサポートやケアの必要性についてご紹介させて頂きます。

昨日の、汐見稔幸先生のお話の中で、もう一つの大事なことが、こどもをたくさんの愛情の中で育てること、愛情に満ちて育ったこどもは、人に対する思いやりや優しさが育まれるということがありました。
こどもは、ご両親からの愛情を受けてすくすくと育っていくのですが、その中でも、こどもはお母さんのことが一番大好きです。
こどもが一番うれしいのはお母さんの笑顔なので、お母さんが元気であることはお子さんのためにもとても大事なことなのです。

【渡辺大地先生】
渡辺大地先生は、株式会社アイナロハ代表で、産前産後のお母さんのサポートや父親教室などの事業を行なわれています。
「株式会社アイナロハ」

渡辺先生は、1980年生まれとまだお若いのですが、奥様の2人目妊娠をきっかけに、それまでイクメンだと思っていた自分が、実は全く役割を果たせていなかったことに気がつき、サラリーマンを辞めて、上記の事業を立ち上げられたとのことです。

講義の中で、我々男性がほとんど知らない産前産後のお母さんのお話を色々として頂きましたが、例えば、出産時にお母さんが出血されるけれどそれはいつまで続くのか、という質問がありました。
講義に出ていた受講者は、私を除いてみなさんお子さんのいるベテランの男性でしたが、皆の答えは、出産後数時間で止まるとか、一日ぐらいだろうとか、比較的短期間で止まるという回答でした。

しかし、渡辺先生から1ヶ月だと言うお話があり、皆愕然としました。要は、出産に伴い胎盤が子宮から剥離すると、かなり大きな損傷になるので、言わば全治一ヶ月の重症のようなもので、悪露(おろ)と呼ばれる出血が1ヶ月続くということでした。
これは、父親を経験していてもほとんどの男性は知らないそうで、奥さまも旦那さんにわざわざ話す方も少ないこともあり、それだけ奥さまの身体をいたわらなければならない状況なのに、旦那はそれをあまり認識していないという夫婦のギャップが存在しているとのことでした。

他にも、最近はやりのイクメンとして色々頑張っているつもりの男性が、実は自分よがりの行動が多く、一番ケアしなければいけない奥さまの気持ちに応えていないとの話もありました。
例えば、渡辺先生が父親教室で、「奥様がとても疲れているときにご主人はどうしますか?奥さまはどうして欲しいですか?」とご夫婦に聞いたところ、ほとんどの旦那さんが「奥さまに代わって家事・育児をする」と答えたのに対し、奥さまは「夫に家事をやってもらっても疲れはとれない(かえって疲れてしまう)ので、自分の話を聞いて欲しい」と答えられたそうです。

渡辺先生は、父親学級でも、単に父親としてこのようなことをすべきというお話をされているのではなく、ご夫婦のお互いの気持ちに気がついて、奥さまが本当にサポートして欲しいことを父親として行なっていくお話をされているとのことです。
ご夫婦の認識の違いにお互いが気がつき寄り添うことを大事にされていますので、関東にお住まいの方は、妊娠前に限らず、ご夫婦で父親学級に参加されるととても良い体験になると思います。

また、先生が書かれた本も、奥さまの生の声も入ってとてもリアルなレポートになっていますので、一度、ご夫婦でお読みになることをおすすめします。
「産後が始まった!夫による、産後のリアル妻レポート」

【大日向雅美先生】
大日向雅美先生は、NPOあい・ぽーとステーションの代表理事・恵泉女学園大学教授で、40年近く母親の育児ストレスや育児不安の研究に取り組んでいらっしゃいます。
「大日向雅美の研究室」

何よりも、全国の育児に悩むお母さんの生の声を直接聞くというフィールドワークを長年に亘って続けられてきていらっしゃっており、その声に応えるべく、12年前に、「母親ひとりの“弧育て”から、皆で支える“子育ち”へ」ということでNPOあい・ぽーとステーションを立ち上げられました。
「NPO法人あい・ぽーとステーション」

先生の講義の中では、色々と考えさせられる話が多かったのですが、例えば、専業主婦の方は家事・子育てだけをやれば良いので勤めに出ている方より楽だと考えている男性が結構多いとの話をされました。
私も恥ずかしながらそうかなと思っていたのですが、小さいお子さんを抱える専業主婦の方は24時間自分の時間が全くないとのお話がありました。
例えば、トイレに行くときも、小さいお子さんがついてくるので、トイレでさえも自分一人になれない、との話をお聞きし、愕然とした記憶があります。

昔であれば、大家族の中や近所の方々も含めて皆で子育てを行なっていたのですが、現在は核家族化が進み、全てがお母さん一人に任せられてしまうと、どれだけわが子のことが可愛い母親でも、子どもに対してイライラしたり、わが子が可愛くないと思ったりすることがあるとのことでした。
それが、児童虐待などの不幸な事件を生んでいる一つの背景なのかもしれません。

大日向先生は、NPOあい・ぽーとステーションで、理由を問わないこどもの一時預かりを行なってこられました。
お母さんが、急な用事ができたときだけではなく、子育てから一時離れてリフレッシュしたいときなど、その理由を問わずに一時的にこどもを預かってくれるのです。

お子さんは、0歳児から4歳児ぐらいまで、毎日(日曜日・祝日以外)、朝から夜まで数十人のこどもを預かり、子育て支援者や私たち「子育て・まちづくり支援プロデューサー」で保育を行なっています。
こどもは、どれだけ私たちと一緒に遊んで喜んでいても、お母さんがお迎えに来ると飛んでいって、お母さんに抱きつきます。
お母さんもすっかりリフレッシュされて、お子さんへのさらなる強い愛情をお持ちになるのでしょう。

このようなNPOあい・ぽーとステーションの取り組みが評価されて、今年の4月から施行された子ども・子育て支援法では、各地域ごとに同様の一時預かり制度が導入されることになりました。
順次、導入されているところだと思いますので、お住まいの地域についても各自治体にご照会してみてください。

大日向先生の著書は数多くありますが、1999年に刊行されて大きな話題になった「子育てと出会うとき」を新たに編み直して文庫化された「みんなママのせい?子育てが苦しくなったら読む本」をおすすめします。
「みんなママのせい?子育てが苦しくなったら読む本」

15年以上経っても、お母さんを取り巻く状況はほとんど変わっていないことがとても良く分かります。
子育てに悩まれているお母さんや、それを理解する旦那さんなどのご家族の方も、ぜひご覧になってください。


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