日本の小学校の算数について

先日、小学校の算数の教科書で気になることがあったので、江東区東陽町にある教科書図書館に行ってきました。

ボランティアでこどもに勉強を教えているときに、こどもたちが算数の教科書を持ってくることがあるのですが、見た目は、我々の頃(数十年前)に比べて確かにカラフルで紙質も良くなっているのですが、中身を見てみるととても違和感を覚えました。

小学校高学年の教科書であるにも関わらず、○○さんと△△くんの会話のような形で説明がされていて、それがやたら説明がくどく、結局どういうことなのかを理解するのが極めて分かりにくい印象がありました。
また、例題についても、式をリードするように算式の一部が書き込まれていたりとか、やたら丁寧に書かれている分、こどもたちが自分で考えることを排除している気がしました。

このような教科書に変わったのはいつなんだろうと思い、教科書図書館にある過去の算数の教科書を調べてみました。
我々が小学校の頃は、1970年代とかなり昔ですが、その頃は、教科書の厚さや量は今とそうは変わっていないのですが、内容は極めてシンプルに各単元の内容の説明と計算問題や文章問題がバランス良く記載されていました。

当時は、それらをもとに先生が黒板で説明してくれたことを理解しながら、教科書の問題を解いていた記憶があります。確かに教科書にはあまり説明はなかったかもしれないですが、それは実際に問題を解きながら理解していたと思っています。

その後の教科書の変遷を見てみると、教科書のハード面は変わってはいるのですが、内容的にはあまり変わっておらず、明らかに変わってきたのが2000年代になってから、いわゆるゆとり教育の時代になってからでした。
さきほどお話したような、分かりやすさを狙った割りにかえって分かりにくくなって考える力を阻害している内容や、それらにスペースを取られ、問題数が減っていて、特に文章題が激減していました。

この頃から、先進国におけるこどもの学力低下が始まっていて、小学校の算数の学力は、昔は日本がほぼ1位だったのにも関わらず、2000年代になって、10位まで一気に落ち込み、その後巻き返しを図るも、未だに一桁後半の順位を低迷している状況です。
「PISA(OECD生徒の学習到達度調査)」

気になって、海外の教科書を調べてみましたが、教科書は必ずしも最新のものかどうかは分かりませんが、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進国での算数の教科書は、分量の違いはあるものの(日本より圧倒的に多い)、内容的には昔の日本の教科書のように、説明はシンプルで、計算問題や文章問題が中心の内容になっていました。

これらを踏まえると、明らかに、算数の教科書の改悪がこどもの算数の学力の低下、国際的な競争力の低下を招いていると考えられます。

先日、インターネットを見ていたら、シンガポールの小学校の算数の学力は世界一だとの記事があったので、シンガポール式算数問題集を取り寄せてみました。
「世界一の学力がつくシンガポール式算数ドリル 小学1〜6年: 「バーモデル」で文章題にとことん強くなる!」

ご覧頂ければ分かると思いますが、算数の文章題をとても重視しており、その中でも「バーモデル」と呼ばれる問題を小学校1年生から行なっているのです。

私が、文章題のレベルチェック&演習問題で用意している問題の中にもバーモデル問題はありますが、内容的には最も難しい問題として位置づけていて、実際ほとんどのこども(4~6年生)はアドバイスなしでは解けない状況です。
『お兄ちゃんと妹に4500円のおこずかいをあげます。お兄ちゃんが妹の2倍になるには、お兄ちゃんと妹にそれぞれ何円あげたら良いですか。』
《自立型学習支援教材(小学校4~6年生用)》

大人からすれば何てことはない問題ですが、計算主体で勉強してきたこどもたちにとっては、この問題をどう計算してよいのかが分からないのです。兄妹のおこずかいを図示して、それらが2倍の違いがあることが表現できれば分かるのですが(バーモデル)、それがアドバイスなしではできないのです。

シンガポール式では、小学校1年生でも同じような問題が出題されています。
『りんごとみかんが合わせて9個あるときに、りんごがみかんより3個多いとすれば、りんごとみかんの数はそれぞれいくつですか。』

これが小学校6年生になればこのような問題にまでなります。
『A工場の男女比は3対2で、B工場の男女比は2対3で、B工場の方がA工場より200人多く、男性の数はどちらも同じです。A工場とB工場の人数の合計は何人ですか。』

おそらく、大人でも簡単には解けないのではないでしょうか(答えは1000人です)。
シンガポールは、日本と同じように資源に乏しい国なので、人的財産形成に力を入れており、教育関係の国家予算は30%弱にまでなっています(日本はわずか5%強)。
その中でも、算数や数学における考える力を重視しており、現在のようなバーモデルを中心とした文章問題カリキュラムに変更して以来、算数の学力の国際比較ではトップをキープしている状況です。

結局、こどもの考える力の育成は、算数の良質な文章問題を小さい頃からしっかりトレーニングすることが重要だと言うことに他なりません。日本の今のような、計算問題主体のやたら教える教育では、日本の考える力はますます国際競争力を失っていくばかりだと思っています。

だからと言って、国の教育制度を批判していても何も変わりません。
民間レベルでの成功モデルを作り上げていくこと、それができて初めて国も変わっていくのだと思っています。
私は、どれだけ時間がかかっても、その成功モデルを作り上げていきたいと思っています。


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山本越郎

Author:山本越郎
30年間勤務した生命保険会社を早期退職して、世の中の頑張っているけど上手くいかずに困っている方々を助けるために、教育問題と医療問題に取り組んでいます。
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