依存症(その1)

私が2年前に入院した病気は、アルコール依存症です。アルコール依存症は、昔はアル中とも言われ、意志の弱い人がなるようなイメージがあると思いますが、私はむしろ意志はとても強く、それでもなってしまうとても怖い病気なのです。
治療は、断酒しかありません。しかし、どれだけ断酒しても、一度お酒を飲んでしまえば、アルコール依存症が再発してしまうのです。
アルコール依存症の患者は日本で230万人程度であると言われ、飲酒者の26人に1人がアルコール依存症という計算になります。しかし、自覚して治療している人は少なく、平均寿命は50歳前半と言われていますので、アルコール依存症ということを自覚しないまま亡くなっている方も多いのです。

私は、自覚して入院して治療を行い、後でお話しますその原因である脳の中の報酬系を自分でコントロールし、今では人並み以上の健康が確保できていると思っています。しかし、あのまま治療せずに過ごしていたら、今頃は命に関わるところだったのかも知れません。

アルコール依存症は、脳の中の報酬系という部分を刺激することによって生じる病気です。この報酬系は、例えば、食欲・睡眠欲・性欲などを満たすことによる生物学的報酬行為による快感や、努力して褒められたり、他人に良いことをするなどの社会的報酬行為による快感をもたらすものであり、本来は、人間が生きていくために必要な心身に良い行為のモチベーションとなる機能なのです。

しかし、この報酬系は、人類が新たに作り出してきた色々な行為によって刺激を受け、それによる快感が忘れられなくなり、必ずしも心身に良くないにも関わらず、本来の目的とは異なる依存症を生じさせています。例えば、アルコールの他にも、タバコ、麻薬、食物(炭水化物など)の物質への依存症や、ギャンブル、ゲーム、買い物、仕事などのプロセスへの依存症や、カルト宗教、DV・虐待などの人間関係への依存症があります。

この依存症による報酬系への刺激は、脳内麻薬とも言われ、快楽物質であるドーパミンが分泌されることにより快感を覚え、やめられなくなるのです。しかも、依存症の人は、自分が依存症であることの自覚はほとんどありません。例えば、アルコール依存症の入院治療は2ヶ月間ですが、初めの1ヶ月は自分が依存症であることを認める期間です。しかし、ほとんどの人は、自分が依存症であることを認めようとしません。いつでも、アルコールはやめられると思っているからです。それがやめられない病気であることを自覚していないのです。
これは、他の依存症にも言えることであり、自分が依存症であることを自覚せずに、いつでもやめられると思い込み、心身面や金銭面などで悪影響があるにも関わらず、やめられずに続けているのです。

実は、世の中にあるビジネスは、この依存症をうまく活用して行われていることが多いのです。酒やたばこなどの他にも、ギャンブル、薬、化粧品、食料品(炭水化物やコーラなど)、教育産業など、依存症と言えるかどうかは別にしても、一度販売して終わりとするのではなく、継続して購入・使用するように色々な仕掛けを作り、ビジネスとしているものが多いのです。
それが、十分な付加価値があったり、心身に良いものであれば、何の問題もないのですが、必ずしも心身に良くなかったり、不当な対価を求められているにも関わらず、購入・使用しつづけるのが依存症の怖いところなのです。

ご自分が依存症であることは、気がついていないことが多いですので、今一度、ご自分が当たり前のように行っている継続的行為を振り返って、もしからしたら依存症ではないかと考えてみてください。これは、消費者が自分で気がついて、自分でコントロールするしかないのですが、それが分かっていてもなかなかやめられないのが依存症の怖いところなのです。

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山本越郎

Author:山本越郎
30年間勤務した生命保険会社を早期退職して、世の中の頑張っているけど上手くいかずに困っている方々を助けるために、教育問題と医療問題に取り組んでいます。
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